子育てリレーエッセイ NO.6

「睡眠不足+反抗期=母のイラダチ」

「ママ,抱っこ」…ああ,まただ。今夜の夜泣きはこれで2回目。
私はそっと布団をはい出して二歳になる娘を抱きかかえる。
彼女の夜泣きとはもう1年以上のつきあいになる。これが毎晩繰り返されるとかなり辛い。おまけに彼女は昼寝も少ない。まだ二歳の癖にどんなに遊ばせても昼夜合わせて1日8~9時間も眠れば充分らしい。

かくして私は年中睡眠不足と戦うことになる。

また二歳といえばやはり反抗期。二歳前からおしゃべりだった娘は,何かにつけ「やだも~ん!」を繰り返す。朝の着替えも食事も外出の準備もお風呂も歯磨きもそれぞれが1時間以上かかる。無理やり着替えさせようとしてもスルリと母の手を抜け出して折角着せかけた服を器用にも脱ぎ捨ててしまうのである。

睡眠不足と反抗期。この二つが重なればその先には私の怒鳴り声しかない。私だって冷静なときには「ドナル」ということが子育てにおいてどんなに無駄で体力を使うことかは充分にわかっているつもりだ。しかし毎日の夜泣きと「やだも~ん」の連続に,ついキレテしまうのだ。

思えば私のおなかにいたころ,へその緒で繋がれ真に一心同体であった娘。「元気?」と声を書けるとドーンとおなかを蹴り返してくれたっけ。
産まれてからも私のオッパイをゴクゴクとのみ,かわいらしい顔で眠り続けた娘。私の作った離乳食をペロリと平らげ,よく遊び,よく笑い,全てが私の思い通りに育つそれはそれは「いい子」であった。

それが1歳過ぎ頃から娘は変わった。夜泣きが始まり,自己主張というものが始まった。
言葉が話せるようになってからはそれはさらに顕著となった。ああ,あの手のかからない可愛い娘はいったいどこへ行ってしまったのだろうか?
私は泣きながら夫にそう訴えた。すると彼は笑いながら言い放ったではないか。
「アッタリ前じゃん。おまえとあいつは全く別の人間なんだもん!!」

目からウロコとは真にこのことだろう。考えてみれば至極当然の事なのだけど。

お腹にいたときからずっと一緒にいた娘は,わたしにとっていつの間にか自分と同一の人格を持った分身のような気がしていたのだ。娘は「やだも~ん」の言葉に「アタシはアタシよ,ママとは違うの!」と必死に訴えていたのだろう。

今はまだ二歳の娘の友人関係など彼女の生活は全て私が掌握している。しかしいずれ彼女は私の知らない自分だけの世界を作り上げていくのだろう。その時私は彼女の世界を邪魔することなく見守ることができるだろうか?その頃までにある程度は子離れしていなければならないなぁと思いつつ,今日もまた思うままにならない娘にイラダチを覚えるこの頃である。

余談だが、今日もまた娘は親の意思とはお構いなしにおしゃべりを続けている。
トイレトレーニングをする娘のためにスーパーへ彼女の下着を買いに行ったときのこと。店員のお兄さんに向かっていきなり自分のスカートをめくりあげ「今ね,赤のパンツ履いてるの。プーさんのパンツ買うの。ママのパンツは…。」
慌てて娘の口を塞ぎその場から立ち去ったことはいうまでもない。

ああ,子育てって本当に親の思い通りに行かないものね…。

(りこ)

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